地方の中小企業のコンテンツマーケティング事例(渋川ガス株式会社様)

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こんにちは。
群馬県前橋市、高崎市で中小企業のマーケティング支援、採用クリエイティブ、ライティング、集客支援をしているT.H.MARKETING(ティーエイチマーケティング)の徳永大祐です。
群馬県を中心に東京や埼玉の中小企業のマーケティング分野、クリエイティブ分野をご支援しています。

今回は「地方にある中小企業のコンテンツマーケティング事例」についてです。
ここでは、会社がある地域を商圏として事業を行っている小さな会社がコンテンツマーケティングに取り組んで成果につなげている運用方法と実例を解説します。

まずは、お客様の情報、プロジェクトを担当した経緯をご説明します。

お客様情報・プロジェクト概要

■お客様名:渋川ガス株式会社
■実施時期:2022年6月~2022年12月
■制作物:自社の情報発信サイト(オウンドメディア)
■WEB:https://www.shibukawagas-life.com/(運用中のオウンドメディア)

■ご相談内容

・今あるホームページが古すぎるのでどうにかしたい
・インフラ企業として地域の方に情報を届ける取り組みを実施したい
・情報発信を通して組織の力を高めたい
・予算が限られているので出来る限り費用は抑えたい

経緯:どのようなプロジェクトなのか

渋川市内で都市ガス供給をする会社が渋川ガス株式会社様です。ずっと昔に作成したホームページをリニューアルするということでご相談いただきました。

リニューアルするにあたって、「せっかくならガスや生活に関する情報を発信されてはどうか」というご提案をし、情報発信をしていこうという話になりました。企業でブログを作成して、コンテンツマーケティングを実施することにしたのです。もともとLINEを運用していたので、ブログを書いてLINEでアナウンスして地域住民の方により多くの情報を届けることができます。

しかし、既存の古いホームページにブログ機能を搭載させることはできず、ホームページまるごとをリニューアルしてブログ機能まで搭載させると予算的に厳しいかもしれないということになりました。

予算に余裕は無いのでホームページリニューアルは難しい。でも、今の古いままでは情報の更新が難しく、見た目からして地域の若い世代に興味を持ってもらえない。八方ふさがりな状態でしたが、「出来る限り自分たちで動いて作る」というアイデアで乗り切ることにしました。

どのようにプロジェクトを進めていったのか

このプロジェクトはお客様である渋川ガス様が最大限自社で労力を賄い、T.H.MARKETINGが出来る制作範囲で情報発信メディア(オウンドメディア)を作るプロジェクトです。

WEBサイト制作の場合、T.H.MARKETINGが戦略立案、制作ディレクションを行い、制作会社が制作するという流れで進めますが、今回は予算の関係上、「出来る限り自前でやる」という特別な方法で実施することになりました。これは特殊中の特殊な方法です。

次のような条件を設け、両社で理解したうえで進めていきました。

・制作はSaaS型WEBサイト制作プラットフォームを使用する

・WEB制作プラットフォームを使ってT.H.MARKETINGが制作する

・掲載情報、写真などの資料は全て渋川ガス様が提供する

・都市ガス供給事業者として掲出する情報は渋川ガス様が作成する

・情報発信、更新は全て渋川ガス様が行う

・WEB制作プラットフォームの機能で制作できる範囲で制作する

・デザイン性よりも機能性、情報の中身を重視する

・制作スケジュールは十分に余裕を持つ(急がない、焦らない)

本当の理想は、制作するホームページのあり方、デザインの方向性、掲載情報の構成、流れなどをT.H.MARKETINGが設計し、それをプロの制作会社が具現化してホームページを刷新することです。そこにブログ機能が搭載されれば良いのですが、それが出来ないので、満足するデザイン性、作りには一切こだわらず、WEBサイト制作プラットフォームで出来る範囲で制作し、情報発信を主として作っていこうということです。

文字通り「二人三脚」で作ることになりました。

商圏の狭い都市ガス供給事業者がコンテンツマーケティングを実施する理由

都市ガス供給業者の商圏は、その地域です。地域に住む方々が日々生活で使うガスを供給する役目があります。なので、ビジネスの視点で言うと商圏が限られています。対してWEBは幅広く情報伝達できますし、世界中に発信することも可能です。限られた地域で事業を行う会社が果たしてコンテンツマーケティングを実施する意味、意図はどこにあるのか。そう思う方も少なくないはずです。

今回の場合で言えば、以下のような目的、意図をもって実施することになっていました。

・存在を知ってもらうため
・売り物を買っていただくため
・いつでも接点を持てるようにするため
・従業員の成長、組織の成長を促すため

渋川ガス様は都市ガス供給をしていますが、ガス機器を販売したり、リフォームサービスも提供しています。実はガスだけでなく、ガス周りのこともかなり提供しています。こういう事実は発信していかないと知っていただけません。知っていただければ買ってくれるチャンスもできます。幸いにして地域の方々向けの大きなイベントを年2回開催しているので、そこで「ブログでいろんな情報を出しています」と案内すれば見てくれるチャンスができます。そうやってちょこちょこと見ていただければ、少なからず事業に良い影響が出ると考えていました。また、これは社内の視点での話ですが、発信する情報を社内で作ることで、従業員のスキルアップ、脳力アップに役立てられるのではないか、と渋川ガス様は考えていました。普段何気なく仕事をしていると、仕事に慣れてくれば惰性でこなすことができます。しかし、誰かに見られる情報を作って発信するとなると、惰性では作れません。「どんな情報が喜ばれるだろうか」「どう書けば伝わるだろうか」「写真はどう撮ればわかりやすいだろうか」と色々考えます。相手を想って行動することが、日ごろの営業姿勢にも生かされるだろうと考えたそうです。

365日、全員で発信するという大きな決断

このように考えた渋川ガス様では、部長が「365日、全員で投稿し続ける!」と宣言して、2023年1月より情報発信がスタートしました。6名で輪番制での投稿が始まったのです。

ブログ投稿の方法をレクチャーしたので、情報作成から投稿までを全て自社完結での運用で始まりました。6名が交代で投稿します。渋川ガス様は都市ガス供給業者なので、世間が休日でも勤務があります。なので、毎日投稿は問題無くできます。もちろん情報を作れる人が早めに作り貯めて投稿スタンバイさせておくということもできます。

365日、毎日投稿するという挑戦を、全従業員10名の会社が決断したというのは、本当に驚きでした。これは渋川ガス様がスゴイし、偉いです。

どんな情報を発信するのか

では、どんな情報を発信するのかということですが、何でも良いということでアドバイスをしました。ガス会社なので、ガスや生活、ガス機器に関することかと思うかもしれませんが、そうはしませんでした。テーマを決めてしまうと情報の枯渇というリスクがあるのと、情報発信慣れしていない人はそもそも書くことができなくなります。社歴や経験値で書ける範囲、幅に差が出るので、途中で離脱する人も出ます。「私は入社して間もないし」という言い訳で逃げることもできてしまうので、「情報は、誰かを傷つけたり、誹謗中傷でなければ、趣味のことでも、お出かけ先のグルメのことでも何でもいいです」とアドバイスしました。とにかく発信する体制を作ることに注力しました。

それに、何よりガスというのは生活で使うものです。ガスがあるから生活が出来るわけですし、生活するからガスを使うわけです。生活に関わる情報であれば、少なからず渋川ガスらしさに繋がると考えました。

生活を楽しむのに役立つ情報を発信することが、渋川ガスらしさ、人柄ならぬ会社柄ではないかと考え、そう提案しました。それに、誰かがお出かけした時の情報を見たり、趣味のことを書いているのを見るというのは、SNSと同じようなものなのです。特殊なことでもありませんし、普段ガスの検針や点検で来る渋川ガスのスタッフの意外な趣味、意外な一面が見られるというのは、地域の方々にとっては案外面白い情報かもしれないと思ったのです。

担当者を任命していただき二人三脚

このサイトは、従業員の能力アップ、育成にも役立てる目的を持っていましたし、費用面を抑えるために渋川ガス様にもご協力いただくという取り決めで進めていました。なので、渋川ガス様から1名担当者を任命していただき、渋川ガスの窓口、運営担当ということで関与していただきました。都市ガスのこと、行政との取り決め、運用ルールなどは渋川ガスの従業員でないと分かりません。それらを全てT.H.MARKETINGでヒアリングすると労力も時間もかかり、その分費用に反映せざるを得ません。現場の写真撮影も必要ですし、社内会議で議論していただくこともあります。それらを全て担当していただく方と二人三脚で進めていきました。後にこの担当者の方が、この情報発信サイト(オウンドメディア)の運用担当として、定期的な発信、管理、保守を行っていくことになります。

出来ない時は代替案で突き進める

このプロジェクトはSaaS型WEBサイト制作プラットフォームを使って制作します。この制作の仕方だと出来ることが限られているので、どうしても要望に合わないところも出てきます。その場合は代替案を考え実施したり、どうしても難しい場合できる範囲で実施することにしました。例えば、SaaS型WEBサイト制作プラットフォームでは既に作成されているデザインテンプレートを使って、掲載情報を改変しながら作成していきます。しかし、要望に合致するテンプレートがあるとは限りません。今回の場合は合致するテンプレートが無かったので、一からの作成となりました。限られた時間の中でオリジナルで作るため、展開できるデザインレベルはそんなに高くありません。そこは出来る範囲で進めていきました。

会社のロゴもノベルティも刷新しよう

このプロジェクトを進める途中で、ロゴを刷新することになりました。昔からあるロゴは炎をモチーフとしたロゴマークだったのですが、現在の渋川ガスは炎だけでなく、暮らし全般にガスで関わる会社であるため、ロゴマークを刷新しようとなりました。ロゴマーク刷新に合わせて、旧来から使用していたノベルティもデザイン刷新になります。デザイン刷新だけでなく、アイテムそのものから刷新し、新しい渋川ガスの相応しいものを制作しようということになりました。

このロゴ刷新、ノベルティ刷新もまた情報発信のひとつにネタになるのです。

このロゴとノベルティの刷新については、別のコラムより詳細をご覧ください。

情報発信サイト(オウンドメディア)は人材採用に役立つ

この情報発信サイトは、実は人材採用でも役立つという狙いもあります。これは別のコラムで解説していますが、求職者は就職する会社を決める際に、求人サイト以外からも情報収集をします。その際に見られるのがホームページや企業SNSです。それらを見ながら総合的に「応募する会社」を決めていきます。この観点で考えると、渋川ガス様はホームページが古いままなので、不利になります。「味気が無いホームページだな」「デザインが昔風だから古い社風だったりして」と思われて、応募する会社の候補から外されたら残念です。しかし、情報発信サイト(オウンドメディア)があれば、会社のあらゆる情報が見えてきます。サイトの中には従業員の似顔絵もあるので、どういう人が働いているかもわかりますし、その従業員が記事を書いていて、趣味のこと、社内イベントのことなどを書いているので、人柄や社風もなんとなくわかってきます。特に特徴のないホームページよりも断然人材採用の際に役立つポテンシャルがあります。

LINE、イベントでアクセス数を増やす

制作されたサイトは、作って情報を毎日投稿するだけでは見ていただけません。SEOで検索上位にブログが表示されることもありますが、身近なところでアナウンスして見ていただくという活動も重要です。

渋川ガス様は年2回、土日を使ってガスイベントを開催しています。渋川ガス様の従業員総出で、しかもガス機器のメーカーさん、地域の飲食店さんや事業者さんも出展するイベントです。ここに地域の方々が集まります。ここでチラシを配り、サイトのQRコードを掲載し、見ていただけるように伝えていくことを地道に行いました。どうしてもスマホの操作が苦手、パソコンは嫌いというご高齢の方には、ブログを印刷したものを配布したりして、その方を経由して、その先にいるご家族に見ていただけるチャンスを作れるような取り組みも実施しました。その効果もあってか、少しずつですがアクセス数が増えていっています。

ブログ 内容 チラシ

こちらの画像は、イベント当日にブログ内容をチラシとして印刷し、持ち帰れるようにした掲示板です。

訪問先のお宅でお客様との話のきっかけになった

投稿数が増え、アクセス数が増えていくと、訪問先でお客様から「そういえば、清水さんは猫を飼っているんですよね」と声を掛けられ、猫のお話で盛り上がったそうです。たまたま訪問先のお宅の方も猫を飼っていらっしゃり、共通の趣味で話が出来たとか。ただの「渋川ガスの清水さん」が「私と同じ猫好きな清水さん」という認識に変わり、お客様に覚えていただけたということになります。

コンテンツマーケティングは胆力と時間が必要

渋川ガス様が取り組まれていることは、とても胆力がいることです。情報を作るというのは簡単ではありません。AI(人工知能)を使って情報を作ることは出来ますが、味気が無い情報に人は楽しさを見出してくれません。地域で事業をやっているからこそ、人柄やいい意味での不器用さが出た方が相手に届くと思うのです。そうなると、胆力はいりますし、時間もかかります。しかし、蓄積された情報は残り続け、WEB空間でとどまり続け、誰かに見てもらえるタイミングが来ます。渋川ガス様のようにリアルイベントで告知することで、ピンポイントで地域の方のアクセスを狙うこともできます。

たった1人の従業員の思い付きではなかなかできません。会社として覚悟を決めて、出来るだけ組織で連携して、外部のパートナーを味方につけて運用していくことで、大きな情報資産と自信が出来上がるのではないでしょうか。

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